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ずっと傍に……
第33章 私の幸せ…
―――――…
あれから高梨先生は私を避けている様に思える。
あのキスは何だったのか。
あの好きと言ってくれた言葉はなんだったのかとモヤモヤとしたものが心の内を占め始めていた頃だった。
「今日も何事もなく終わりほっとしましたね」
仕事が終わり帰り支度をしていると、ひさしぶりに高梨先生に声をかけられドキドキした。
「そうですね。終わってほっとしています。」
平静を装って笑顔を向けると、高梨先生が一瞬怯んだような気がした。
そして顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「あの…」
「あっ…すみません…えっと…明日…明日なんてどうでしょう…」
急に明日と言われて意味が分からず首を傾げると、捨てられた子犬のようにシュンと項垂れた。
「この前話した…今度ご一緒にご飯でもと…」
最後の方は小さくなる言葉に、あれは社交辞令じゃなかったんだとホッとする自分がいた。
「いいですよ。前もって分かれば比較的でかけやすいですから」
OKをすると高梨先生はうれしそうな顔で、明日の約束に念を押して先に帰って行った。
家に帰って友也に明日の事を告げても、我関せずと言った具合で食事さえ用意していれば私が何をしても気にはならない様子だった。