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ずっと傍に……
第35章 すれ違う心…
「もう食べられるのか?」
「…分からない…どこまで掻き混ぜたら出来上がるのか書いてない…」
カレールーの箱を渡しながら言うものだから、私も恭平さんも噴き出してしまった。
真っ赤になる友也の横に立って味見をする。
まずいわけではないけど物足りない。
冷蔵庫からケチャップとウスターソースを出してカレー鍋に入れると驚いた顔をする友也に、隠し味だよと教えた。
隣に立っても昨日のような態度を見せない。
少しは落ち着いたのかとホッとした。
そろそろ火を止めようかと友也を見た時、頬の腫れに気がついた。
「その頬…どうしたの?」
腫れた頬に手を伸ばしながら聞くと、触れる直前にさっと顔を背けられた。
「…ぶつけただけだから…気にしないで…」
歯切れの悪い友也にはずかしいんだと思い、それ以上何も聞かなかった。
「そっか…痛みがあったり熱を持ってたら冷やしなさいよ。」
「んっ…わかった…」
たったそれだけなのに、素直に返事をしてくれるのがうれしい。