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ずっと傍に……
第36章 意志を継ぐもの…
「…そう…なのね…男の人と一緒…だったのね」
驚きながら、そして憐れんだような視線を向けられた。
この視線が嫌いだった。
「どうしてそんな目で見るんですか?あの時も…今も…それが耐えられなかった」
少し強い口調で言ってしまって後悔する。
昔の事なのにと…
「そうね…男の人と一緒だと思い込んでいたあなたには…私たちの視線は理解できないわよね」
納得するようにつぶやくと、古澤さんはゆっくりと呼吸をして私に向き直る。
「初めの頃はね。仲の良いカップル?ご夫婦だなと思って見ていたんですよ。だけどいつの間にか姿を見なくなって……また買い物に来られるようになったと思ったらひとりで来られるようになって…でも誰もいないのに…そこに誰かがいるように話されていて……」
「えっ…ちょっと待ってください…誰もいないのに喋ってた??それ私ですか?」
「そうよ。間違いないわ。目立ってたから良く覚えているもの。だからね。どうしたのかしらって心配になって……でもご主人を亡くされた後だったんですね」
古澤さんの言葉に戸惑う。
あの時は確かにユキが傍にいて、じゃれ合いながら買い物をしていた。
20年近く前の事だけど記憶を間違えるはずもない。