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ずっと傍に……
第36章 意志を継ぐもの…
私はハンバーグとグラタンの材料をカートに入れレジに並んで袋詰めをする。
そして何も言わずに全てをもってスタスタと歩き出し、そのスマートさに大人になったなと感心した。
「ねぇ~母さん。明後日だけど――――」
こっちを見ながら話しだした友也は、店に入ってきた人とぶつかった。
「あっ…ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫……で……」
直ぐに謝る友也と違って、ぶつかった方は大丈夫だといいながら言い淀む。
どこか痛めたのではないかと心配になって友也の横から顔をだせば、驚いて目を見開いている志保さんがいた。
その志保さんの瞳には私は映っていないようで、じっと友也の顔を見続けていた。
「えっ…と…あの…大丈夫…ですか?」
視線を逸らさない志保さんに友也の方が困惑する。
「あっ…ごめんなさい…ちょっと若い頃の兄に似ていたから…」
そう言いながら志保さんは泣き出してしまった。
あたふたする友也に、私も何と言っていいのか分からなかった。
泣くほどまで友紀也に似ているのかと思と、私の方がドキドキしてしまう。