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ずっと傍に……
第36章 意志を継ぐもの…
「兄の…兄の若い頃にそっくり…でも…兄の子供ではないですよね…」
志保さんが何を言いたいのかは分かる。
時期を考えると友紀也の子供じゃない事は確かでも、そこまで似ているとなると疑いたくもなる。
「陽葵さん、私たちの荷物ってどうしてますか?」
「あっ…えっと…どうしていいのか分からなかったので取っています」
「そう…だったら今から伺ってもいい?探したいものがあるから」
その志保さんの言葉に4人で私の家に帰ることになった。
微妙な組み合わせだと思いながらお互いの車で私の家に向かった。
友紀也が亡くなって妊娠したと発覚してから志保さんとは会ってはいない。
だから、志保さんとお父様の荷物をどうしていいのか分からず、お父様の部屋だったところに保管していた。
その中で見つけたいものとは何だろうと思いながら車を走らせた。
ロビーを通りエレベーターに乗った。
「真鍋さんは?」
「5年前に引退されました。今は息子さん家族と一緒に住んでいらっしゃいます。」
管理人の真鍋さんは70歳まで働いてくれたけど、足腰がだいぶ悪くなり仕方なく引退された。
死ぬまで管理人を続けると言って頑張っていたのに残念ではあったけど、お孫さんに囲まれた生活をゆっくりと送ってほしいと思う。