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ずっと傍に……
第36章 意志を継ぐもの…
「なぁ、志保…これ病院だよな…目を覚ましたって…怪我でもしてたのか?」
成人式の次のページに目を向けた大地くんが聞いた。
そこには病室のベットの上にいる友紀也と志保さの写真があった。
タイトルは『お兄ちゃん、目を覚ます』だった。
志保さんは眉を寄せて辛そうな顔をした。
そして、その写真を大事そうに撫でて話してくれた。
「それね…成人式が終わってどのくらいだったかしら?…踏切の中に入ろうとする小さい子をたすけるためにお兄ちゃん、踏切に飛び込んだの。間一髪電車と接触する事はなかったけど、その時に頭を打ったみたいで数か月間意識がなかった。学先生からも覚悟をするように言われて…毎日泣きながら病院に行ってた…だから目を覚ました時うれしかった。お兄ちゃんが目を覚ました記念に写真を撮ろうって撮ったの…でもね。変なのよね」
「変って?」
「元々、お兄ちゃんって温厚な喋り方だったんだけどね。目を覚ましてから馬鹿丁寧に話すようになったの…あなたや陽葵さんが知ってる喋り方…それまでは違ってた…不思議に思って聞いたけど、誰かにお願いされたって…意味分からない事言ってたんだよね…頭を打ってるから混乱してるんだろうって学先生は言ってたけど…今でもよくわからないの」