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ずっと傍に……
第36章 意志を継ぐもの…
「お兄ちゃんの口癖…今、友也くんが言った言葉もお兄ちゃんの口癖だった…それも目を覚ましてから…信じられないけど…そうね。信じられない…友也くんがお兄ちゃんの子供だなんて…」
志保さんは頭を振り、考えている事を打ち消しながら口にした。
「それでも…そうだったらうれしい…ずっと陽葵さんはお兄ちゃんを裏切ったと思ってたから…あんなに愛されていたのにお兄ちゃんが可哀想だってずっと思ってた…だけどお兄ちゃんならやりそうな事よね。それだけ陽葵さんの事好きだったし愛してた…」
そう言葉を残して志保さんたちは帰って行った。
残った私たちは珈琲を飲みながら友紀也の小さかった頃の写真を友也と眺めていた。
「本当にそっくり…」
何度も何度も友也はそう繰りかえす。
友也は父親が誰なのか知らないはずだった。
友紀也とユキの写真を飾りながら父親だとは教えていない。
ただ私の大切な人たちで、彼らがいたから私も友也もこの世に存在するとしか教えてない。