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第36章 意志を継ぐもの…

友也はソファーに全身を沈めて天井を見つめてフーッと息を吐く。
その表情を見てて、どうしても伝えたい言葉が頭に過る。
友也がいることで私は幸せに生きてこられた。
友也の幸せを願いながら懸命に生きてきた。
友也も友紀也との約束を守りながら、そして生まれて来た意義を、私を守るためと言った。

「友也…友也が生まれて来た意義。…友也は自由だよ。友也が生まれた意味や経緯は別として、友也は自由なんだよ。私に縛られることなく自分のやりたいことをやってほしい。私は友也が幸せに笑っていてくれればそれで幸せだから…友紀也の言葉に惑わされることなく…自分の道を歩んで」

決して私が生きていくためだけに生まれて来た子ではない。
それぞれの思惑がそうであったとしても、誰もがみな、友也の幸せを願わないわけがない。
血を分けた家族。
私も、友紀也もユキも、友也の幸せを願わないはずがない。

「私にとっても、友紀也にとっても、ユキにとっても、友也は大切な家族なんだよ。その事だけは忘れないでね」

そう言葉にすると、友也は少し泣きそうな顔をして静かに頷いた。