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第37章 時の流れ…

自分たちだけが知らなかった事に不満なのか千佳が大地くんに迫り、大地くんは逃げるようにビールを取りにキッチンに向かった。

「ヒナ、ビール貰うな」

「うん。勝手に取って」

そんな私たちの会話を恨めしそうに見つめるふたつの視線を感じて振り向けば、千佳と私が入れ替わる形になり、がっちりとホールドされた。
これは話さない限り逃がしてはもらえないなと観念する。
だけど、初めから話すつもりだったから問題はない。
全てを話して信じてくれることを祈って話し出した。

「あのね。信じられない話なんだけどさ…友也の父親って…―――――…」

そうやって全てをふたりに…いや三人に話した。
大地くんも全てを知ってるわけじゃない。
友也が友紀也の息子だと言う事しか知らないはずだった。
だから私が話す言葉は驚きと困惑を招いたようで、三人は険しい顔をしたままだった。
だから私は友紀也のアルバムとユキと一緒に写った写真を出した。

「ごめん…意味わかんない…」

それが話し終えて最初に口にした千佳の言葉だった。