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ずっと傍に……
第38章 引き継いだモノ…
「ゴムを捨てて、避妊しようとしない彼を見て…なんで、こんな人好きだったんだろうって…思ったら…蹴り上げちゃいました」
フフフッと笑う彼女に連られて私も笑った。
そのくらいの罰を与えても彼女の気持ちが全部晴れることはなくても、少しはスッとしたならいい。
「痛がってた?」
「めっちゃ痛がってました。お前、何するんだって言いながらうずくまる彼を見て…ば~かって言って逃げて来ちゃった…」
彼にご愁傷様と思いながら、一切憐れみを感じることはなかった。
木野崎さんは、どこかふっきれた感じで帰って行った。
その姿を見て、悲劇が起こらなくてよかったと思う。
これも性教育の授業を始めたから。
いつの時代も性に対しては尻込みするし、人に話すのは恥ずかしさがある。
友達同志ならまだしも親や教師なら尚更。
だからと言って全てが友達同士で解決するとも思っていない。
だからこそ、冷静に話しを聞いて的確なアドバイスができる大人が必要で、その大人に相談できる環境が必要だった。
幸いにも、性教育の授業を始めて性について相談に来てくれる子が多くなった。
やっててよかったと思う瞬間でもある。