この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ずっと傍に……
第38章 引き継いだモノ…
「先生!!忘れ物―――…雄大?何してんの?」
ガラッと扉を開けて木野崎さんが勢いよく戻って来た。
私と対面で座っている原くんを見て驚いた顔をしていた。
「木野崎さん、どうしたの?」
「あっ…スマホ忘れちゃって…」
テーブルの周りを探してみてもスマホはなかった。
「あれっ?教室かな?」
「今日、学校に持ってきてないよ」
「えっ?うそっ??って何で雄大が知ってるのよ」
「朝、おばさんに会って忘れて行ってる見たいって言ってたから…」
原くんの言葉に、木野崎さんは記憶を遡っているかのように視線を右上に向けた。
そして数秒して申し訳なさそうな顔をする。
「スマホの在処が分かってよかったわね。ふたりとも同じ方向何でしょう?一緒に帰りなさい」
帰るように促すとふたりとも、えっと言う表情をする。
「まぁ…同じ方向だしね」
木野崎さんは、なぜだか少し恥ずかしそうにする。
その姿に満更でもないと感じた。
「雄大帰ろう」
「あっ…うん…じゃ、陽葵先生また」
「陽葵先生、またね」
ふたりは仲良く帰って行った。
原くんの恋が成就すればいいと願う。
そしたら木野崎さんもきっと幸せになれるから…