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ずっと傍に……
第6章 初デート…
「…先生…」

「陽葵がそんな顔をする必要はありませんよ。遠い昔のことですから…それに、さっきも言いましたけど僕には想い出があります。それで十分だと思っています……人はいつかは死ぬ…その死に際で幸せだったと思えるのであれば…周りが悲しむことはないと僕は思っています………僕は覚えていませんが、母が死ぬ間際に言ったらしいんですよ。僕の手を握って…」

そう言って、先生は私の手を取って優しく包み込んだ。

「こんな風に手を取って…『目に見えなくても、お母さんは傍にいるから、そしてずっと見てる…だから笑って…でも悲しい時は泣いていいからね。お父さんでもいいし、おばあちゃんでもいい…自分の弱さを見せられる人が必ず傍にいるから…あまり頑張らずにね』と言葉を残したそうです……ですから僕は笑って過ごそうと…どこかで見守ってる母の為にも強く…そして優しくあろうと…決めたんです」

先生の言葉は穏やかすぎて私の方が泣きそうになる。
ううん…泣きそうじゃなくて涙が零れて泣いているのが分かる。
これは悲しいからじゃない…
先生のお母さんの想いが切なくて…
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