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ずっと傍に……
第39章 ずっと傍に…
「母さんは何か要望とかないの?」
新しい家の設計図を広げている友也が、少しほろ酔い気分で聞いてきたけど要望などない。
「住めればどこでもいいわよ…」
「母さんはそればっかりだね…母さんには一番いい部屋で生活して欲しいんだから意見言ってよ」
また始まったと、遥さんと目配せして苦笑い。
私の事を一番に考えてくれるのはうれしいけど、本当に要望なんてない。
「本当に…ないのよ…私より長く住む四人が良いように設計すればいいの。キッチン周りは遥さんと奈保さんの好きなように。部屋の数と配置は奈津や和也の事も考えて設計すればいいの…これから建てる家の主役はあなたたちよ。…私じゃない」
「母さん…」
私の言葉に納得のいかない友也は、焼酎グラスを片手に私の横に座り、申し訳なさそうな表情を向ける。
「昔からそうだよな…あまり自分の意見言わずに我慢して…。…本当はさ…ここから出て行きたくないっていうのが本音なのは分かってる。できるなら最後までここで生活してほしい…だけどそれは無理だから…せめて次に住む家は母さんの願いを優先させたいんだ」