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ずっと傍に……
第39章 ずっと傍に…
「そうですか?僕は陽葵に似ていると思いましたよ。特に笑う表情が陽葵にそっくりだと。だから気がついたんです。あの時の少女が陽葵だと。―――…僕たちは大人になってからではなく、ましてや高校の時でもなく、もっと前に出会ってたんですね。そして僕は陽葵に何度も癒されてるんです」
「何度も?」
そう問い返すと、友紀也は頷いた。
「そうです。小さな陽葵に抱き付かれて人の温かさにホッとしたのを今でも覚えています。そしてユキとして出会った時も…ユキとして過ごした時間は夢の様にいるような時間でした。記憶がない僕を傍に置き必要だと言ってくれた。その言葉がうれしかった。誰かに必要とされていることがうれしかったんです。もちろん志保にも必要とされていましたが、それは血が繋がっているから。血も繋がらない赤の他人から必要とされたことがうれしかった。そして、毎日僕の為に作ってくれる料理に涙が出るほどうれしかったんです。母の味を知らずに育った僕には…陽葵の料理は…母の味なんです」