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ずっと傍に……
第42章 母の愛…
「母さんは何か要望とかないの?」
「住めばどこでもいいわよ…」
遥から受け取ったお茶を飲みながら、大丈夫よと笑う。
「母さんはそればっかりだね…母さんには一番いい部屋で生活して欲しいんだから意見言ってよ」
「本当に…ないのよ…私より長く住む四人が良いように設計すればいいの。キッチン周りは遥さんと奈保さんの好きなように。部屋の数と配置は奈津や和也の事も考えて設計すればいいの…これから建てる家の主役はあなたたちよ。…私じゃない」
「母さん…」
これで何度同じ話をしているのだろう…
自分はいいからと取り合ってもくれない。
俺はグラスを持って母さんの横に座って説得する。
「昔からそうだよな…あまり自分の意見言わずに我慢して…。…本当はさ…ここから出て行きたくないっていうのが本音なのは分かってる。できるなら最後までここで生活してほしい…だけどそれは無理だから…せめて次に住む家は母さんの願いを優先させたいんだ」
母さんは困った顔をする。
俺だって困るよ…