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ずっと傍に……
第43章 託された想い…
「母さんは病室に戻るから、大地はゆっくりしてらっしゃい」
何かを感じ取った母さんは俺を置いて病室に戻って行った。
桜木とふたりっきりで気まずい。
とりあえず、近くのベンチに座った。
コートを着込んでいるといっても、何もせずにベンチに座っているのは正直辛かった。
「いつから…僕が桜木だと気がついていましたか?」
白い息を空に向けながら、桜木が口を開いた。
いつからか…
「ケーキ屋で会った時に、どこかで見たことある気がしたんです。だけど思い出せなくて…その後、高校の時の友達の家に遊びに行った時に懐かしさから卒業アルバムをみてたんです。そこに桜木…先生が写っていてフルネームが桜木友紀也だと分かって。友紀也さんと桜木先生が一緒なんだと気がつきました。…ヒナには言ってません。他の誰にも…」
「そうですか…まさか、そこからバレルとは思いませんでした。気がついたのは水無月くんが初めてですよ」
関心したように笑う笑顔は、まさしく桜木そのものだった。