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ずっと傍に……
第43章 託された想い…
「言わずに別れるって…どうして…」
「もう手の施しようがないそうです。あとは緩和治療で死ぬのを待つだけだと言われています。主治医は僕が幼い頃からお世話になっている先生で、両親がいないことも知っています。家族は妹の志保だけ…ですから、全てを包み隠さず話してくれています。―――――本当は志保にも言わないつもりでしたが、縁が切れるわけがありませんでしたの告げました。それによって志保は苦しんでいます。僕の前では気丈に振舞っていますが日に日に痩せていくのを感じます。」
それは俺も感じている事だった。
初めて会った時から志保さんは痩せたし、疲れた顔をするようになった。
それでも、桜木の前では笑ってる。
それを見ている俺の方が辛かった。
「志保でさえそうなのに、陽葵が僕の病気を知ってしまったら同じようになるのではと、それ以上にショックを受けるのではないかと思うと、それが恐ろしいんです。」
「でもっ…」
それでも、ヒナの気持ちを考えると知らずに過ごすよりはと思う。
桜木は俺の言葉に寂しく笑った。