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ずっと傍に……
第43章 託された想い…
「先ほども言いましたが、陽葵は優しい子です。そして弱い…強くあって欲しいと思っても陽葵は弱すぎる…それでも僕は生きていて欲しいと願うんです。陽葵の人生はまだまだ続きます。もちろん水無月くんの人生もです。その中に喜びはたくさんあります。僕の死の悲しみよりも大きな喜びが待っているはずなんです。僕がいなくなった世界で…幸せに笑っていて欲しいと―――それが僕の願いなんです。ですから、それを水無月くんに託したいと」
桜木の言葉は辛すぎるモノだった。
完全に自分が死ぬことを前提に話していて、ヒナと桜木が一緒に歩む未来がないと全てを諦めている。
「先生…」
何かを言おうとしても言葉が見つかならい。
何を言っても薄っぺらいような気がして何も言えなかった。
「人はいつか死ぬんです。それは変えられようのない事実…だったら、僕は悲しみを残したくない。僕が愛した人たちには笑って幸せであって欲しい。それが僕の今の願いなんですよ。ですから水無月くん。悲しまないでくださいね。僕が安心して逝けるように陽葵を守ってあげてください」