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ずっと傍に……
第43章 託された想い…
「膵臓癌で余命を告げられた時は信じられませんでしたね。それを受け入れるのに時間がかかりました。…まさか自分の身に降り注ぐなんて思いもしませんからね。嘘であって欲しい、学先生の見解違いかもしれないと思いましたが、学先生が名医だというのは僕が一番知ってるんです。病気を受け入れて、あと一年後…来年の秋にはこの世にはいないんだと思うと…そうですね。寂しさよりも、悔しさよりも、ただ他人事の様に感じていたのは事実です。それでも毎日陽葵がお見舞いに来てくれて、会い続けるうちに、僕が死んでしまったら陽葵はどうするんだろう、どうなるんだろうと考えるようになりました。」
「自分の事よりヒナ…ですか?」
「そうですね。これからの陽葵のことが一番心配でした。怪我をしただけでも心配してましたから、これが余命宣告されたと聞かされたら…きっと壊れてしまう。そう思ったんです。」
「気丈に振舞っていても、後を追ってしまうと…」
自分でも自分の声が震えているの分かった。
桜木が死ぬことを考えても怖いのに、それがヒナだったらと思うと、もっと怖くなる。