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ずっと傍に……
第44章 愛情は変わらない…
「それより、どうかしたの?授業はじまるわよ」
「それ…ちょっと友也と話したかったから…ここ使って良い?」
「話したいから?」
大樹は詳しくは話そうとはしない。
だけど、何も話をしなくて納得してくれるとも思わない。
「あの…さっき俺の父親の事でクラスで揉めて…それで大樹が連れ出してくれて…」
それだけ告げると、先生は何かを察してくれたようで1時間だけねと言って出て行った。
俺と大樹はベッドに座って運動場で始まった体育の授業を眺めていた。
開け放たれた窓から流れ込む風が心地よく感じた。
それは風だけではなく、俺の事を心配してくれた大樹の想いも感じたからだと思う。
「お前の切れるとこ…始めて見た」
真面目にランニングをしない生徒を怒鳴り散らす声を聞きながら、大樹の言葉が耳に届く。
目線を大樹に向けると、少し困ったような表情だった。
「うん…俺も…自分で驚いてる…てか、まだ手が震えてる」
そう言って手を出すと見ただけでも分かる程震えていた。