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ずっと傍に……
第44章 愛情は変わらない…
『桜木くんってさ。お母様の事大好きだよね。』
お酒が入って、お互いがほろ酔い気分だった。
『悪い?』
この女も同じかと、串にささっている豚バラを口にほおりこみビールを流しこんだ。
今まで何人かの女と付き合った事はある。
だけど、俺が母さんを大事にすることが許せずに別れることが多かった。
彼女より母さん優先…もちろん、彼女の言い分も気持ちも分からないわけじゃない。
だけど、女手一つで俺を育ててくれた母さんを大事に思う俺の気持ちを分かってくれない女とつきあうつもりもないし、ましてや結婚をする気にもなれなかった。
『悪いって…』
『自他ともに認めるマザコンだよ。悪い?』
俺の言葉にシュンとする天野は両手でビールのジョッキを握りしめて俯いた。
さすがに言い過ぎたかなと思っていると天野は顔を上げて微笑んだ。
いつものような明るい笑顔ではなく、どこか寂しそうに見えた。