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ずっと傍に……
第45章 家族の絆…
「友紀也、どうして連絡をしてこなかった?」
「ごめんなさい…」
「ごめんなさいじゃないだろう?志保に何かあったらどうするつもりだ?」
泣きたいのを我慢しているのか、友紀也くんは俯いたまま両手をギュっと握りしめていた。
それが分っていないのか篤志は尚も続けた。
「友紀也!何かあったら連絡しなさいって言ってあるだろう。お兄ちゃんなんだからしっかりしなさい」
「…ごめん…なさい…」
小さな…聞こえるか聞こえないかの小さな声だった。
その状況が耐えられなかった私は友紀也くんに手を伸ばした。
「友紀也くん…おいで」
友紀也くんは顔を上げて私をじっと見てくる。
私の事を覚えていないから警戒するのは仕方がないと思い、私の方から近づいて友紀也くんを抱きしめると硬直するのが分かった。
きっと抱きしめられることに慣れていないんだろう。
それだけ篤志は志保ちゃんばかり手をかけているんだろうと感じた。
5歳と12歳。
手のかかる妹の志保ちゃんに手をかけるのは仕方がない事なのかもしれない。
それでも、やっぱり12歳でも子供は子供で親の愛情は欲しいはずだ。