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ずっと傍に……
第45章 家族の絆…
「篤志も座って。」
少し低い声で言うと、篤志は借りてきた猫の様に小さくなって私の前に座った。
「さっきのあれはないよね。志保ちゃんの事で動転してたのは分かる。だからと言って友紀也くんを叱るのはお門違いだよね」
「そうだけど…友紀也には何かあったら電話して来いって言ってあるし…いつもはしっかりとしてるんだ。言えば分かる…だから言い聞かせた」
「馬鹿かっ」
そんな言葉しかでてこない。
大学の時は優秀で教授からも一目置かれる存在だった。
今だって不動産関係で手を広げて稼いで優秀なのには変わりはない。
それなのに肝心の人の心が読めない。
それで美也子と何度も喧嘩したのに変わることはなかった。
「しっかりしていても子供は子供だよ。その証拠が今の友紀也くんだ。今日だってキミに抱き付いて泣きたかっただろうに…自分はお兄ちゃんだから、キミと約束をしてるからと泣くのも我慢してた。キミが志保ちゃんの傍にいる間も、ずっとキミの洋服を握っていたの気がつかなかったか?泣きそうな顔をずっとしていたのを気がつかなかった?」
篤志は小さく首を横に振った。