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ずっと傍に……
第46章 生きていてほしいから…
母さんの言うとおり父さんとリビングに行きテーブルの上に桐箱を置いた。
「桜木先生…帰ってきたよ…やっと…帰ってこれたね…」
最後は声が掠れて言葉にはならなかった。
分かっていても、こんな小さな箱の中にあの桜木先生が入っていると思うと、また涙が溢れ出す。
そんな俺に父さんがポンポンと優しく撫でる。
「蒼…辛いだろうが、涙は見せるなよ…陽葵の前だけは…」
桜木先生が亡くなって一度も涙を流していない父さんも必死に我慢しているのは知っていた。
誰もが陽葵の前でだけは泣かないで陽葵を支えようと思っていた。
「だね。俺たちが泣いてちゃ桜木先生に笑われるね」
涙を拭いて笑顔を作りソファーに座って陽葵が来るのを待った。
母さんが戻ってきて5分程たった後に陽葵がリビングに入ってきた。
憔悴しきった様子でソファーに座って、母さんが出したお茶を飲んで力なさげにソファーに背中を預けていた。