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ずっと傍に……
第46章 生きていてほしいから…
「いきなりいなくなって心配したんだぞ」
「…ごめんなさい…」
父さんの言葉に、陽葵は言葉だけで謝る。
本当に悪いと思ってない…いや…何も考えられないというのが今の陽葵の感情なのかもしれない。
千佳さんたちの事を話しても謝るだけ。
何かをしてあげたいと思っても、今の俺に言える言葉も何もなかった。
一緒に帰るつもりで来たけど、桜木先生との思い出の場所を離れたくないという陽葵の言葉に、何も言えずに陽葵を置いて帰ることにした。
雨が降りしきる中、傘をさして帰る道のりは重苦しい。
誰もが、陽葵が桜木先生の後を追わないか心配だった。
だから母さんは毎日陽葵の元に通う。
陽葵の好きな物ばかりを持って通い詰めていた。
だけど、どんどん元気が無くなって行くのが分かる。
そしてある日を境に陽葵の元に行かなくなった。
それから全てが狂いだす。
桜木先生が亡くなったのが始まりのように全てが最悪な方に転がり落ちていく…そんな感じだった。