この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ずっと傍に……
第48章 奇跡のはじまり…
「何度もお見舞いに来てくれてたけど…友紀也の意識がいつ戻るか分からないから途中で断ったんだよ。」
「そうなんですね。」
「いつも、おばあちゃんと来ていてね。毎回、泣いて帰らないと言い張るからね。小さい頃に悲しい記憶はないほうがいいと思ってね。」
僕の傍で泣いている顔を思い出す。
思い出すと、学先生の判断が正しいと思える。
ヒナちゃんは笑っていたほうがいい。
「そうですね。そのほうがいいですね。幼い頃の悲しい出来事はトラウマになるかもしれない…あの子には幸せな人生を送ってほしいと…思いますね」
「お兄ちゃん…」
ホッとしている僕に向かって志保の緊迫した声に僕の方が驚いた。
「志保…どうしたんですか?何か心配ごとでも?」
「心配事って…その喋り方…」
「喋り方?」」
「そうよ。お兄ちゃん、そんな話し方…しなかった」