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ずっと傍に……
第48章 奇跡のはじまり…
志保の言葉にそうかもしれないと思った。
もう少し砕けた喋り方で、馬鹿丁寧な喋り方ではなかった。
だったらどうして??
考えているとフト頭に過ぎる言葉。
『丁寧な言葉で喋って』
そう言いながら悲しそうな瞳で僕を見つめる女性のぼやけた表情が脳裏に浮かんだ。
それが誰かは分からない。
だけど、その人に頼まれて馬鹿丁寧な言葉を話すようになった気がした。
「誰かに…そう、誰かに頼まれたんです…このしゃべり方が好きだからと…」
僕は女性に頼まれてこの喋り方にした。
僕と一緒にいることで癒されるという彼女に、僕も癒されていたことを覚えている。
僕が初めて人に甘えられた瞬間で…母親のような…そんな温かさがあった。
顔は思いだせないけれど、その温かさだけは覚えていた。