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第49章 とある日のふたり…

僕が一歩踏み出すきっかけができたあの出来事。
陽葵には辛い経験だったかもしれないけれど、あれがなければ気持ちを表に出すことは一生なかった
目の前に現れたキミはブラウスのボタンがなく、そしてしがみついて震える姿を見て何があったのかと不安になった。
キミの名前を呼ぶ男の声に震えが酷くなるのを感じて、キミに起こった事が分かった。
そして、キミの口から零れ出る言葉。
もう無理だと思った。
自分の気持ちを抑えて、物わかりの良い教師でいる事は無理だと悟った。
教師を辞めてもいい。
全てを捨ててでもキミが欲しいと思ってしまった。
だから名前を呼んだ。


陽葵…


と名前を呼び抱きしめ、そしてキスをした。
後戻りはできないと分かりながら、陽葵がいない未来を考えると、その方が辛かった。