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ずっと傍に……
第51章 認めた瞬間
「んっ……せん、せい……」
一人動揺していると、彼女が小さな声で僕を呼んだ。
そのまま、むにゃむにゃと口を動かし起きなかったから寝言だったんでしょう。
それでも、彼女は寝ながらも微笑みながら言葉にする。
「せん、せい……好き、大好き」
どんな夢を見ているのか分からない。
だけど無意識に好きだと言葉にする彼女に、僕の心は完全に囚われた。
もう分からないふりなんて無理だと自覚する。
僕は、彼女が僕に向ける想いと同じ想いを持っている。
だけど僕は教師でキミは生徒。
僕たちの気持ちが交わる事は決してない、あってはならない事。
だけど……だけど、今だけは許してほしい。
最初で最後だから、今だけは僕をひとりの男に……
そう心の中で呟きながら、僕は彼女の髪の毛にそっとキスを落とした。
そして彼女の耳元でささやく。
「僕もキミの事……陽葵の事が好きですよ」
それが、僕が彼女……陽葵を名前で呼んだ初めてだった――