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ずっと傍に……
第51章 認めた瞬間
夢を……見ていた。
先生にキスをされる夢。
と言っても髪の毛にキスをされる夢で、あの優しい声音で名前まで呼んでもらえるという超特大の幸せな夢。
そんなうれしい夢から覚めると、先生は静かに本を読んでいた。
ページをめくる指が長くて、伏し目がちに読む姿が私にはかっこよく見える。
と言っても、正直、先生はかっこよくない。
頭はボサボサで、シャツはヨレヨレ。
お世辞にも人気がある先生とは言えない。
だけど、私はそんな先生が大好きだった。
しばらく先生を見ていると、先生の視線が本から外れ私の方に向いた。

「起きていましたか、ちょうど起こそうと思っていたんですよ」

そう言ってにっこりとほほ笑む姿にときめかないはずがない。

「あっ、えっと……眠っちゃって、ごめんなさい」

「別に構いませんよ」

その一言に、ここに来ることを許された気がした。
いつもは私が来ると、先生はうんざりした顔をする。
帰れとあからさまには言わないけど、歓迎されていないのは分かっていた。
だから、うれしかった。
たった一言だけど、私の気持ちが先生に届き、一歩近づけたと思うと自然と笑顔になった。


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