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第10章 新しい世界…

「…もう…いいよ。」

全てを知りながら、私とつきあい続けた大地くんの想いを考えると、その先の言葉を聞く気にはなれなかった。

「あの日だって…別れを告げられて、やっぱりなって…やっぱり俺より桜木かって思って……。だったら、今までの俺らの関係は？ヒナは一度だって俺の事を好きでいてくれたんだろうかって思うと…ヒナを滅茶苦茶にしたくなった。こんなことしたって、ヒナを傷つけるだけだって分かっていても…自分を止めることができなかった……最低だよ…俺は…本当……最低っ」

初めて触れた大地くんの心にいたたまれなくなる。
そう追い詰めたのは私…
私の隠していた…自分でも気がつかなかった想いを大地くんは気がついて苦しんでいた。
それなのに、私は残酷な、一番残酷な方法で大地くんを傷つけた。

「…ごめん…大地くん…謝るのは私の方…」

「ヒナは悪くない…何があろうと、あんなことやっちゃダメなんだ…」

私が謝ろうとすると、大地くんは力強く否定する。
全ては自分が悪いのだと。
付き合っている時からそうだった。
いつも優しくて、私の事を思ってくれていた。