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ずっと傍に……
第10章 新しい世界…
―――――…
午前中の講義が終わり家でのんびりしていると、弟の蒼(あおい)とママが帰ってきた。
真新しい紺のブレザーにチェックのネクタイが初々しさを感じた。
蒼は今日から高校一年生。
私と同じ高校に入学して私の後輩になる。
「もう帰って来てたのね」
「うん。午前中だけだったから、蒼、入学式はどうだった?」
ソファーにどがっと座った蒼に声をかけると、はぁ?と言った表情で睨んでくる。
反抗期なのか、最近はこんな目をされる。
名前を呼び捨てにするけれど、昔はまだ可愛げがあったのに…
「ねー。陽葵、理科の桜木先生って知ってる?」
ママの口から友紀也の名前が出て一瞬言葉に詰まった。
何も悪いことはしていないのに、悪戯がばれた時のように血の毛が引く。
「えーっ…と…桜木…先生ね。2・3年の時、教えてもらったよ。桜木先生がどうかした?」
「蒼の担任なのよ」
一瞬頭の中が真っ白になった。
ママの言葉に耳を疑いながら、ママの言葉が頭の中で木霊する。
まさか、蒼の担任が友紀也だなんて信じられなかった。
それに友紀也は何も言ってはくれなかった。
それとも、私と蒼が姉弟だとは分かっていない?