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ずっと傍に……
第11章 嫉妬と牽制…
―――――…
1時間程高速を走り、下道を30分も車を走らせれば花火大会の会場に到着した。
車を降りて通りに出ると、浴衣を着た人たちが同じ方向に歩いている。
その流れに乗り私たちもお祭り会場に向かった。
「浴衣を着るには遅いですが、この地域ではこのお祭りまで浴衣を着て良いという地方のルールがあるんです。来年はふたりで浴衣を着てくるのもいいかもしれませんね。あんな風に」
友紀也の目線を追えば、浴衣を着たカップルが仲よさそうに歩いていた。
指を絡めあい、時たま彼氏の方を向いて微笑む彼女の笑顔はきれいで輝いていた。
「来年…一緒に歩きたいなっ」
「いいですよ。来年は浴衣を着て一緒に歩きましょう」
なんてことない約束でも、来年も一緒に過ごせるんだと思うと、うれしかった。
少し歩けばお囃子の音が聞こえ賑わっている音が耳に届く。
大きくないお祭りかと思っていたら、参道にびっしりの屋台に驚き、出店に興奮する。
「好きな物があったら言ってください。食べながら歩きましょう」
人を避けながら歩く友紀也にぴったりとくっついて縁日独特の雰囲気を楽しんだ。