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ずっと傍に……
第13章 それぞれの誕生日…
―…
――…
―――…
年老いた女性が椅子に座り外を眺めていた。
その女性は直ぐに私だと分かる。
その横には今と変わらない友紀也がいて、私の膝にひざ掛けをかけてくれている。
友紀也は隣に立っている小柄な可愛らしい女性の腰に手を回し、庭で遊ぶ子供たちを愛しそうに見つめている。
その風景をみて、そうかと全て理解する。
今と変わらない友紀也は、きっと私と友紀也の子供、そして庭で駆け回っている子供たちは私の孫?
だったら友紀也は?
そんなことを思いながら立ちすくんでいると、すっと年老いた私の横に友紀也は今と変わらない姿で現れた。
『僕が欲しかった未来…僕が陽葵と共に作りたかった未来…ありがとう…陽葵…本当にありがとう』
年老いた私は友紀也を見て涙する。
ポタポタと流れる涙を友紀也はそっと拭って、髪の毛にキスを落とす。
『長い歳月でしたね…』
『そうね…長く…とても長かった…』
年老いた私は友紀也の手を握りしめて優しく微笑んでいた…