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ずっと傍に……
第14章 顔合わせ…
「お昼の用意できたわよ~」
下からママの声が聞こえて、瞳に滲んでいた涙を拭いて笑顔で下に降りて行った。
テーブルの上にはいつものママの料理が並ぶ。
「ママに料理習っておけばよかったな?」
ママお手製のグラタンを食べながら本当にそう思う。
もっと早くから色々な料理を教えてもらっておけばよかったと後悔する。
もし、このタイミングで家をでなければ、卒業するまでの2年間で色々教えてもらえたはずだと思うと泣きそうになった。
「そう言うと思ってたわよ。だからこれ」
そう言って渡されたのは一冊のノートだった。
「昨日の今日だから全部は書いてないけど、当分はこれで大丈夫と思うわよ」
中をペラペラとめくれば、ママの字でびっしりと書かれたレシピに言葉もでなかった。
私でも作れるように詳しく書かれているノートにママの愛情を感じた。
「もう、こんなことで泣かないの。今日から一緒に住むんだから食事だけはつくってあげなさいよ。でもね。長く一緒に住むコツは無理をしないこと。できない時はできないって言うことが大事よ。沢渡さんは優しそうな人だから、陽葵に無理はさせないと思うけど…頑張らないように…何事もほどほどが大事だからね」