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ずっと傍に……
第16章 苦悩…
「陽葵?」
悲し気な瞳が私を見つめる。
「嘘。もうだまされないから。顔色も悪いし食欲もないし、それでどこが大丈夫なの?大丈夫って言えば言うほど心配になる。私ってそんなに頼りにならない?」
友紀也の表情が一瞬揺らぐ。
「私は友紀也を心配しちゃダメなの?友紀也が私を心配してくれるように私も友紀也の事が心配なの」
気持ちをぶつければ、友紀也は辛そうな表情でハァーと溜息をつく。
「本当に…体調が悪いわけではないんですよ」
「友紀也!!」
どこまでも頑なに大丈夫だと言い張る友紀也の名前を強く呼んだ。
「本当ですよ。どこかが悪いわけではないんです……陽葵…抱きしめてもいいですか?」
いつもだったら何も聞かずに抱きしめてくるのに、いつもと違う友紀也に戸惑い怖くなる。
私は返事もせずに、私の方から友紀也を抱きしめた。
「大丈夫だって強がらないで…体調が悪いならそう言って」
友紀也の手が私の背中に回り、友紀也の顔が私の胸に押し付けられる。
それは子供が母親に甘える様なそんな感じに思えた。
「陽葵…」
弱々しい声が私の名前を呼んだ。