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ずっと傍に……
第16章 苦悩…
「体調が悪いわけではありません……………実は、僕のクラスの女子生徒が…妊娠したんです。相手は、教育実習で来た先生でした…女子生徒は真剣に彼の事が好きで産みたいと言います。彼は一時の気の迷い、父親になる気はないから中絶してほしいと…」
思いもよらない話に何をどう言って良いのか分からなかった。
ただ聞くしかできない私は、友紀也の背中を擦りながら少しでも心が安らげばと願うことしかできなかった。
「女子生徒が納得しない事には中絶もできません。中絶するには早い方が身体への負担も減ります。ですが、彼女は首を縦にはふらないんです…正直、もうどうしていいのか分からない…」
項垂れる友紀也にかけてあげる言葉が見つからない。
教師と生徒。
それは私だったかもしれない。
もし、私が妊娠していたら産みたいと思う。
ただ、幸いにも私の場合は友紀也が常識を持って私を大切にしてくれたから、妊娠するということはなかっただけの話。