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ずっと傍に……
第16章 苦悩…
―…
――…
―――…
目が覚めたのは友紀也のスマホが鳴る音だった。
ぐっすり眠っている友紀也は起きる気配はない。
久しぶりに安心してぐっすりと眠っている友紀也を見て起こすのもかわいそうだと思いそのままにしていると、何度も何度もかかってくる。
時間をみれば6時を少し回ったぐらいで、これは何か緊急性があると判断して友紀也を起こすことにした。
起こしても、まだ寝ぼけているのか私に抱き付いて甘えてくる。
「ねぇ~…矢畑さんって人からずっと電話が鳴ってるよ。緊急なんじゃない?」
「矢畑…?矢畑??」
名前を示せばバッと顔を上げて驚いていた。
「画面にそう出てたよ。10分ぐらい前から何回も鳴ってる」
慌ててスマホの画面をチェックして折り返し電話をかけていた。
「桜木です。どうかしましたか?」
喋りながら廊下に移動する友紀也は、どこか緊張している様に見える。
廊下からぼそぼそと話し声は聞こえても内容までは分からなかった。
1・2分して戻ってきた友紀也の表情は先ほどと違って青ざめていた。
「これから出かけます…陽葵はゆっくりしていてください。」
「何かあったの?」
慌てて着替えている友紀也に聞いても返事が返ってこない。
「友紀也っ!!」