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ずっと傍に……
第3章 新しい恋…
「…よかった…」
ほっとしたのか、小さな…とても小さな声で大地くんは呟いた。
「じゃあ…行こうか…」
「…うん…」
これからすることを考えるとお互い口数が少なくなる。
先ほどまで気を使って色々と話してくれていた大地くんさえも一言も喋らなくなっていた。
いつもの別れる場所で、再度確認するかのように大地くんの指がギュッと私の手を握りしめた。
それに答えるかのように私も握り返し、自分の家ではなく大地くんの家に向かった。
「ここが俺の家」と教えられたのは、モダンな一軒家だった。
大地くんが玄関のカギをあけると緊張しすぎて、大地くんの服を握りしめていた。
「…緊張しないでよ…俺も緊張しちゃうじゃん」
大地くんもどこか緊張していたみたいで、笑う笑顔もどこかぎこちなかった。
家の中に入って、大地くんの部屋に通されただけで、ドキドキが増していった。
ジュースとお菓子をテーブルの上に乗せ、大地くんは私の横に座り、ただ部屋の中でふたり並んで話す言葉もない。
いつもだったら色々な話をして笑いが絶えないのに、今は言葉さえなかった。
場が持たないと思いジュースに手を伸ばし一口喉に流し込む。
緊張して乾いていたのかスッと奥深くまで染み渡る感じだった。