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ずっと傍に……
第17章 対峙…
「もっと」
唇が離れると寂しくて、もっとと欲しがりまた唇が重なった。
今度は深く…舌を絡ませながらお互いを貪る。
何度も何度も角度を変え、短い時間を共有する。
10分は短く、もっと激しく交わりたいと切に願っても、今の友紀也にそれを望むのは無理な事ぐらい分かっていた。
「また明日来るね」
「ええ…待っています…帰っても泣かないように…泣かないおまじないです」
そう言って、額に触れるだけのキスをする。
離れがたくても30分は過ぎていて、最後に触れるだけのキスをして病室を後にした。
車に戻ると外で煙草を吸っていたパパが私の頭を撫でる。
「話せたか?」
「うん…ありがとう…帰ろう?」
帰ろうと口にすると、パパは嬉しそうに笑った。
家に帰る間中、蒼はトイレが長いだのなんだのと文句を言いながら、久しぶりに過ごす家族の温かみを感じていた。
私が捨てようとしていたモノの重みを肌で感じ、絶縁しなくてよかったと思う。
途中でうどんを食べて帰れば20時を過ぎていた。
先に蒼をお風呂に入れ、私とパパはソファーに座ってお互いの出方を待っている。
本当は謝りたいのに謝れない。
ただ「ごめんなさい」の言葉なのに口が重くて言えなかった。