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ずっと傍に……
第18章 うそつき…
―――――…
来るなと言われても勝手に足が友紀也の家に向く。
管理人さんにジロリと睨まれても遠目からでも友紀也を見られたらと、本当にストーカーになりつつある自分自身に笑いがでてしまう。
それでも諦めきれなくて、あの時間が幻ではなかったのだと信じたくて足を運んでいた。
「ヒナ…そろそろ帰ろう…」
私がここに来て2時間を過ぎた頃、大地くんが声をかけてくる。
その声に黙って首を振ると、大地くんはそっと私の手を握り、そして優しく抱きしめてくれる。
「帰ろう?友紀也さん…今日は帰ってこないんじゃないかな?」
「帰ってこないの?」
「うん…帰ってこないよ…だから帰ろう?送っていくよ」
その言葉に小さく頷いて、大地くんの車で家に帰った。
家の前では私を心配して待っていたパパが、私を見つけて駆け寄り優しく頭を撫でてくれた。
「いつも、すまないね」
「いいえ…じゃ、ヒナ。また明日学校でな」
大地くんは私の手を解いて帰って行く。
解かれた手をじっと見つめて、涙がこぼれる。
私に温もりを与えてくれていたのは友紀也だった。
その温もりはもうない…
大地くんから与えられた温もりも、私の心を埋めることなんてできなかった。