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ずっと傍に……
第18章 うそつき…
「陽葵、家の中に入ろうか…ママが陽葵の好きなグラタンつくってくれてるから。なっ」
パパに背中を押されて重い足を動かして家の中に入った。
「今すぐ温めなおすわね」
「いらない…食欲ない…」
慌てて準備をしようとするママを止めて自分の部屋に行った。
ベッドに身体を預けて、目を瞑れば友紀也の笑顔が浮かび上がってくる。
あの旅行の時の笑顔が嘘とは思えなかった。
何度も何度も身体を重ね、愛し合った時間が偽りの時間だったとは思いたくはなかった。
だって、あの時には確かに友紀也の愛を感じた。
愛おしてく愛おしくて、相手を思いやる愛をヒシヒシと感じた。
…感じてもそれは幻だったのか…
そう思いながら、私は泣き疲れて眠ってしまう。
そんな毎日が続いた。
毎日のように友紀也のマンションに通い、いつも大地くんに手を引かれて家に戻れば、パパとママが迎えてくれる。
それでも誰かと喋るのも億劫で部屋に閉じこもり、必要最小限の言葉しか交わさなかった。
そして食欲もなく、ほとんど食べなくなった。
身体は弱る一方で、友紀也のマンションに行くのでさえ身体がきつい。
それでも、一目会いたくてマンションに行く。
行っても友紀也に会えることは殆どない。
帰ってきていないのか、部屋に明かりが灯る事はなかった。