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ずっと傍に……
第18章 うそつき…
「陽葵に説明する意味がありますか?マンションを売りに出すのも陽葵とこれ以上関わりたくないからです。なのに、行先を教えますか? やっと陽葵との接点がなくなるというのに…」
「そんなに私の事嫌い…?接点を持ちたくないほど嫌い?」
「嫌い…にはなりたくはなかった。一緒に過ごした時間は楽しかったですし、幸せな時間でもありました。そんな時間をくれた陽葵を嫌いにはなりたくなかった…ですが、これ以上、僕たちに…志保を不安にさせるのであれば…僕は陽葵を憎みます…最愛の人を傷つける陽葵を敵とみなします…陽葵…僕の事をまだ想ってくれているのなら、僕の事は忘れてください。陽葵も本当の運命の人を見つけて前に進んでください」
「友紀也…」
友紀也はゆっくりと立ち上がり私を見下ろし儚く微笑んだ。
「僕は僕の道を進みます。陽葵は陽葵の道を進んでください。これから先、僕と陽葵の人生が交わることは決してない。こうやって陽葵と言葉を交わすこともないでしょう。…陽葵の幸せを願っています。」
友紀也はそう言って、深々と頭を下げて、私に背を向けて歩き始めた。