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ずっと傍に……
第19章 哀しみの中で…
「友紀也と過ごした時間は私の宝物なの。だからそれを壊したくない。私の中でも…友紀也の中でも……だから私は前に進みます」
「陽葵…」
「安心して?もうつきまとうことはないから…私は友紀也に笑っていて欲しい…それが私の傍じゃなくても…私が友紀也の笑顔を曇らせる存在だけにはなりたくないの…だから今日でお別れ…」
私は立ち上がって友紀也に右手を差し出した。
友紀也は立ち上がって、その右手をじっと見ていた。
「最後に握手しよ?これで友紀也の前から消えるから…最後に握手…」
抱きしめてあげることはできないと言われ、それでも最後に友紀也に触れたくて握手をせがんだ。
友紀也はその右手を取って握手する。
そして、その手を引いて抱きしめてくれた。
「これからの人生、色々な人と出会い別れを繰り返していくでしょう…それでもそれは陽葵にとってかけがえのない出会いで全てに意味があるんです。ひとつひとつの出会いを大切にしてください。陽葵…キミの幸せを願っています…僕の事は忘れて…幸せになってください。」