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ずっと傍に……
第19章 哀しみの中で…
「陽葵ちゃんさぁ…」
いきなり下の名前で呼ばれてドキッとする。
「もしかしてビール苦手??それともお酒全般??」
「あっ…えっっと…ビールが少し…苦手で…」
「そっか…だったら何が好み?」
「あっ…梅酒…とか?」
そう告げると、三島さんは手を挙げて梅酒を頼んでくれた。
そして、あまり料理に手を付けていない私のために、生春巻きとチキンのソテーを取り分けて、ちゃんと元取らなきゃと渡して、合コンに慣れていない私に気を使ってくれているようだった。
「ね~…ちょっと抜けない?」
1時間程たち、勝手自由に席を移動し始めた頃、三島さんは私の横に座って耳打ちする。
どうしたらいいのか困っていると、三島さんは机の下で私の手を繋いだ。
「つまらないでしょう?そんな顔してるよ」
「えっ?」
見透かされて戸惑っているとクスクスと笑う。
「俺も人数合わせに呼ばれただけだから抜けちゃおうよ」
三島さんは隣にいる熊谷さん?に一言二言告げて、私の手を強引に引いてお店を出てしまった。