この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ずっと傍に……
第20章 出逢った意味…
「恭平…?」
幸せに浸っていると、知らない女性の声が恭平さんの名前を呼んだ。
振り返る前に恭平さんを見れば、瞳を見開いて驚いた表情をしていた。
「こんなところで会うなんて…私の時はどんなにお願いしても一緒には来てくれなかったのにね」
寂しそうな声に、私の心は締め付けられる。
「もう…話すのもイヤ?」
何も話そうとしない恭平さんに、彼女は大きな溜息をついて、そうだよねと笑った。
「デート中にごめんね。じゃっ」
恭平さんは一言も喋らなかった。
コツコツと遠のく足音に、いたたまれなくなったのは私の方だった。
「待ってください!!」
慌てて引き留めても、何を言っていいのか分からず一生懸命言葉を探した。
そして出てきた言葉は馬鹿な一言だった。
「恭平さんの前の彼女さんですよね」
正直、馬鹿としかいいようのない一言。
そんな私の一言に、彼女はなんとも言えない表情で儚く笑った。
「えっと…おひとりですか…?よかったらご一緒に」
どうにかしたくて言葉にすればするほど気まずい雰囲気が流れるのを肌で感じた。
こんなところに1人でくるはずもなく、増してや一緒にどうぞだなんて誰一人望んでない事は私にだって分かっている。