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第20章 出逢った意味…

ランチも終わり、どこに行く当てもなく恭平さんと歩き、これが最後かもと思うと名残惜しい。
きっと、今日を最後に会うことはないとお互いに気がついている。

「あの日…恭平さんに出会った意味…同じ苦しみを持ちながら惹かれ合うことはなかった私たち…恭平さんは夕実さんとこうなる運命だった」

いつもの駅で最後の会話をする。

「…陽葵と出逢えてよかったよ…背中を押すつもりが逆に押されて、感謝してる」

「はい…これでお別れですね…」

恭平さんの差し出した手を握り締めて最後の握手を交わした。
そして解かれた手は私の髪の毛をワシャワシャと掻き乱す。

「だな…けど、辛くなったら連絡してきていいから。俺はまだ、陽葵の背中押せてないから」

そう言って優しい恭平さんは、私の逃げ道を最後まで作って去って行った。
恭平さんにとって私に出会うことは意味があることだった。
だったら私は？
私が恭平さんに会った意味は？
辛い時に、大地くんや千佳たちが言えない事を言ってくれた。
それだけで気持ちは楽にはなったけど、それだけ。
また一人になるのだと思うと、また寂しさが溢れ出す。
恭平さんが埋めていた心の穴は、また広がった…