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ずっと傍に……
第21章 この愛が燃え尽きるまで…
「気がついたかい?」
ぼんやりとした意識の中で、友紀也とは違う声が耳に届き瞳を開けば、心配そうにのぞき込む学先生がいた。
そして、私の手を擦りながらギュッと握りしめていた。
「手…」
「手?手がどうした?…こんなじいさんに手を繋がれて嫌だったかな?」
学先生は少し残念そうに口を開いて笑いを誘う。
「ずっと…学先生が手を?」
私は違うと頭を横に振り、ずっと握っていてくれたのか学先生だったのか確認した。
「誰かに握っていてほしそうに宙を舞ってたからね…それより気分はどうかな?」
「…大丈夫…ですけど…私…」
「うん…ここがどこか分かるかい?」
「病室…」
そう答えながら記憶を辿る。
今日は恭平さんと会って、最後の別れをした。
その帰りに大地くんと志保さんをみかけ、この病院まで後をつけた。
そして…それから…それから…
「あっ…学先生っ!!友紀也っ…友紀也の病状って病状って…」
「落ち着いて…ゆっくりと深呼吸しようか…」
慌てる私と対照的に、学先生は落ち着いた声で私の胸に手をあてて落ち着くように声をかける。
学先生がする呼吸に合わせて私も呼吸を続けると少しずつ楽になる。