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ずっと傍に……
第21章 この愛が燃え尽きるまで…
「死の瞬間までって…簡単に言わないで。お兄ちゃんが死ぬなんて簡単に…」
志保さんは顔を両手で覆い声をあげて泣き出した。
彼女もずっと我慢して来たんだろう。
ご両親がいない今、友紀也を支えてあげられるのは志保さんだけ…
私はそこには入れない…入れて貰えない。
「志保さんはいいですよね…友紀也の傍にいられて…」
それが私の本当の気持ち。
友紀也の傍に無条件に居れる志保さんに嫉妬さえ覚えてしまう。
志保さんは少し怒ったような顔をして私を睨みつけた。
「陽葵さん…自分の事ばっかり…お兄ちゃんが可愛そう」
志保さんはそれだけ呟くと、病院の中に入って行った。
友紀也に会いに行ったんだろうと考えると、羨ましくも、やはり嫉妬してしまう。
それから、ただただ時間が過ぎていくだけで、今日も友紀也に会えなかった。