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ずっと傍に……
第22章 幻でもいい…
―――――…
「…陽葵…」
弱々しく私の名前を呼びながら、ほっそりとした腕を伸ばして私に触れようとする。
私はその手を取って両手で握りしめた。
「ここにいるよ。傍にいるから」
力なさげに微笑むその表情に覇気すら感じられない。
学先生からは覚悟をしておくようにと言われた。
余命1年と宣告されて2年半。
友紀也はものすごく頑張った。
痛みに耐えながら、それでも私にはいつも優しく微笑んでいてくれた。
だから最後は私も微笑んでいたい。
泣き顔じゃなくて笑顔の私を見ていて欲しい。
「友紀也…よく頑張ったね…」
握りしめている手を離して友紀也の頬に触れ微笑むと、友紀也も腕を伸ばして私の頬に触れた。
「陽葵とは一秒でも長くいたいと思いましたから…陽葵にも辛い思いをさせてしまいましたね…こんな姿を見せたくなくて手離したのに…結局は僕のエゴで連れ戻してしまった…本当だったら…もっと楽しい人生だったはずなのに…僕の我儘で…陽葵には…辛い思いを…二度もさせてしま―――」
「もういいから…話さないで」